STYLE COFFEE

2020/05/22 07:43

STYLE COFFEEの焙煎から一杯のコーヒーができるまで。コスタリカ編。

今回発売したコスタリカは珍しく素直な豆でした。
コスタリカの豆を焼く時はいつもアンダー気味(火が入りきっていないこと)になってしまうから。
コスタリカの豆は密度が高く火が入りづらい印象がある。基本的に栽培される地域に標高が高いものが多く、豆も小粒。
そのようなことからアンダーになっている豆の味として特徴の豆の青臭さが残っていたり、コスタリカで言うとナッツ感が強く残っていたり、酸味の質が良くなかったりする傾向があります。そうならない様に意識してプロファイル(焙煎レシピ)を構築し1回目のローストを行いました。

ロースト後、基本的にはルーティンとして一週間置いた豆をカップ(味の確認)します。これは焙煎後の豆はガス(二酸化炭素)が安定していなく味が落ち着いていません。この状況でカップし も本来の味がでていないからです。コーヒーの抽出も焙煎日から4日ほど寝かせた方が甘さや香りも上がって、より美味しく飲めます。

1回目のローストはどの様な味になっているかすごく気になるので焙煎後にカップと抽出を行います。中南米特有のまろやかな甘さ。嫌な酸も感じない。これはいいなんて思いたいけど経験として焙煎後のテイストが個人的にちょうど良いものは飲み頃になると少しアンダー気味になるということ。一週間後の再びカップを行うと予想通り少しアンダー気味です。全体的なボリュームが足らずフレーバーも弱い。けど質感、マウスフィールはシルキーで心地よいそんなテイストからローストプロファイルを再構築します。テイストのネガティヴを抑えて良いところは残す。

再構築したら焙煎を行い、その後 またカップをとり、テイストを確認。この繰り返しです。この流れの中でこういう味にしたいという目指す味にプロファイルがハマった時、要は再現性の質があがる時や手持の引き出し、今こういうテイストが出てるからどこをどうすべきかの引き出しがたくさんあるとやはり強いと思う。毎年同じ農園の同じ豆を購入していても農作物だからその年の気温や降水量によって全く同じ豆にはならないから豆の品種や プロセスで傾向はとれても毎回違う。
そこをどのようにアジャストして自分の評価基準と向き合いながら作り上げる。そこに焙煎やコーヒーの楽しみがあると思う。

今回のコスタリカPie Sanは派手さはないけど甘さと質感を注意して飲んでいただきたい。抽出のターゲットもフレーバーを引っ張るより全体のボリュームに注意したい。

現在のお店のレシピは1投目に35gのお湯を注ぎ1分間蒸らす。コスタリカは数値的な観点で言えばお店のフィルターコーヒーのTDS(コーヒー濃度でどれだけ水にコーヒーが溶け込んでいるかを表す数値)は1.23-1.29辺りを目指しています。他の豆と同じようなレシピで抽出するとコスタリカの場合0.1位低い。可溶性固形分が溶解しにくい豆で長い時間お湯に浸かっているけどコーヒーの成分 。。出ていないわけですそうすると水っぽくナッティなテイストになりますなので今回は1投目の蒸らしの時間を1:30に設定しました。甘くなってほしい。

僕たちロースターは生豆を選抜しローストしてカップしてローストしてカップを繰り返します。常にローストエラーを減らして品質管理を徹底します。

ところでこの品質管理、焙煎において重要なのはそのコーヒー豆を観察してポテンシャルを最大限活かすことだと思うのですが自分の好きな味を目指すこととのちょっとしたズレみたいのがあるんですよね。昔は自分の好きな味を持ってるのが大事だと思っていて、それを再現することに注力してました。それ以外にも個性を好きになるんですが焙煎をする過程においてもっと豆を見ることが重要になってきます。全体的にみれば焙煎も抽出も自身の好きな味の表現だとは思うけど1番は生豆の選定で我をだしていて。いや選定においても現在のラインナップのバランスを考慮してるし、通販やお店に足を運んでくれるお客様の好みなんかも考慮してるから、それをひっくるめて好きな味を目指しつつ豆のポテンシャルを引き出し、お客様に楽しんでもらいたい。そんなことを考えてます。散々好きな味という言葉を使っていますがこの好きな味や美味しさってすごく重要なことだと思っています。コーヒーだけでなく料理やスイーツの美味しいモノの何がどう美味しいのか。それを考えることが表現や再現性の引き出しになると思っています。このコンテンツにて今後あらゆる美味しさについて探求していればと思っています。

状況によるカッピングの変化
カッピングとはローストされたコーヒー豆の品質の確認。
一貫性に整えた環境を作りスプーンでコーヒーをすすります。プロファイルの作成、生豆やローストによる欠陥の発見、生豆の購入の決定、抽出レシピの参考、そして無限にあるコーヒーテイストからフレーバーやアロマ、甘さの質や口当たりなどを確認し共有する。
コーヒーを客観的に把握する作業でとても重要なスキルです。人と共有すること、アウトプットや人からの意見で味の特徴を聞くこと。その積み重ねで自分自身の味の引き出しや品質向上に繋がります。

以前はパブリックカッピングを自店で行ったり他店舗さんに行ってスキルを磨きましたが現在のコロナウィルスの影響で人と同じ空間でカップをとるという作業ができません。散々カッピングは重要ですと説いてきた自分にとって現在の状況だからできないのは仕方ないと割り切れないので模索しながらカッピングしていけたらと思います。オンラインカッピングもいいけど映像で人がコーヒーをすすってるのを見合うのはピンとこないし一通り味の確認をした後に行うフィードバックだけ一緒に行えばいいとなと今は思のですが。


カッピング アカツキコーヒーの中島さん
今回はシンプルに豆を渡してカッピングをしていただきフィードバックをもらいます。カッピングは毎回同じ環境で行うことが重要ですが同じ場所でできない以上、注意が必要です。今回は店舗で挽いた豆と挽いていない豆を2種類渡しました。挽き目でかなり味の違いが生まれますので環境を近づけるうえで挽いた豆を用意しました。同じ水を使用したり、ブレイク時間だったりと問題点はありますができることからコツコツといきましょう。
今回は信頼するバリスタのアカツキコーヒーの中島さんにカッピングをお願いしました。

今回お渡しさせていただいたコーヒー豆は
1 Rwanda Ruli 1004
Location :Gakenke
Variety:Bourbon
Process:Washed

2 Costa Rica / Pie San
Location:Tarrazu
Variety:Catuai
Process:Yellow honey

(以下メール内容をそのまま載せています)
中島さん
まずスタイルで挽いたルワンダ、挽き目が以前よりかなり細かくなってるよね?

そのルワンダが最も好印象で、グレープ・アプリコットからオレンジ・ライムと、温度変化と共にフレーバーの印象が変わるし、質感もジューシーからシロッピーへと変化してるように感じておもしろかった。あとはバニラの香りと、少しの繊維質。
今日になったら少し落ちてたけど、挽いたものだから仕方ないね。

同じ豆を当店のいつもの設定でカッピングしたところ良さが全く出なくて、アンモニア臭はあるしフルーツのフレーバーは非常に小さく、伸びも短い、甘さも少ない、と良いところ無かったので、なるべくスタイルの挽き目に合わせて今日やり直したら、向上した。グレープフルーツを感じたし甘みも出た。キャラメルも。でもまだ粗かったみたいで伸びはまだ少し短い。

比較して味以外に感じたことは、抽出なら細かめにして伸ばすのが向いてるという事と、同じ豆でも挽き目を変えるとドライの香りからかなりの違いが出る、という事。

コスタリカはルワンダ以上に挽き目で印象が大きく変わった。粗いと全体的に暗く、重い印象。クリーミーでナッツの雰囲気はあるけど…。フルーツは洋梨やリンゴが小さくあるが、それ以上に糖蜜のような「クリーンではないシュガーシロップ」を強く感じる。

しかし今日、細かく挽いてカッピングするとまるで別物で。全体に明るさが出て柑橘を感じ、甘さと相まってオランジェットや、ナッツの風味もはっきり出て、プラリネ。

考えてみたらスタイルの焙煎機でやいたものを初めて頂いたね。今までと大きく変わったように思う。
クロちゃんが本来好きな、繊細なコーヒーにぐっと近づいているように感じました。以前のメルボルンみたいな?


黒須
丁寧なフィードバックありがとうございます!
挽き目はtds1.1位に合わせてます。
そんなに挽き目でテイスト変わりますか。ある意味怖いですね。
環境に合った挽き目でアジャストしないと意図するテイストがでない、またいつもやってる挽き目からローストプロファイル作ってるのがダイレクトにでてしまうのですね。どこにポイント置くのがいいのか。
これは驚きです。

ルワンダは以前より少し火をいれました。浅くいれたほうが抽出でレモンティーでべっこう飴のような甘さになったので個人的にいいなと思ってたのですが、カップだとアンダー要素満載で。
今回少し火を入れて様子見てます。ボリュームはでてジューシーさ上がったのですが酸質が以前と比べて太く重いかなと。様子みます。

コスタリカはまろやかさ推しで焙煎進めてスイートネス重視です。浅く焼いたものはアフターに柑橘系でました。今回のはまろやかなんですが複雑性がもう少し出せればと思ってます。

アカツキコーヒー



このカッピングから学ぶこと
コーヒー豆を多角的な目で見ることは品質管理に置いて非常に重要です。
人によって味覚の表現の引き出しは違うし、客観的にさせてくれます。焙煎者が表現したい味をブレずに行うことも素晴らしいしいのですがもう一歩成長速度を早めるために人からポジティブ、特にネガティブな意見を聞かせていただくことでより質は上がって行くのではないかと思います。
当店は現在一人で営業していて味を決めていく際にどうしても自分だけの世界に陥りがちです。そんな時に人からの意見がすごく重要です。

美味しさについて
昔テレビチャンピオンという番組をみていてその時のテーマが確か熱帯魚選手権。
一つの水槽に熱帯魚や水草、石、苔などを配置してきらびやかさや、お題に即しているかなどを競います。参加者はもちろん驚きのあるものや豪華で美しいものを作り上げていく中で1人だけ変わっている方がいました。その人は水槽にいれる熱帯魚の数やその熱帯魚がする糞の量、苔やタニシ、水草の数を全て計算し今後一生水槽の水を変えなくてもいい循環システムを水槽の中に作っていました。水槽の蓋を閉めた後に周り続けるバランスを知りたいんだと。
ゾクっとしたのを覚えています。もちろんその人は優勝できません。

この話は美味しさについて直接関係ないのだけれど。でもこの一見、綺麗な水槽を作ることの本質とかけ離れているけど本質を射抜いているような感覚というのがあって、美しさについて器の作家さんは長けている思うのだが自然物には勝てないけどそれについて考えてそれに近づけたいというような話しも聞く。美味しさってすごく大きくて、嗜好品だから人それぞれって言ったらその先はないわけでこの美味しさについていろんな人の意見を聞いて深いところの美味しさの本質を探っていきたい。

今後は対談形式で美味しさについて考えます。

質問などありましたら気軽にメールください。