STYLE COFFEE

2021/09/17 15:52

STYLE LETTERは毎月届くニュースレターです。
内容は商品化されるまでのコーヒー豆への焙煎アプローチや抽出方法。
現状行うのが難しいパブリックカッピングの代わりとなるカッピングのフィードバックの共有などです。
皆様の意見や質問をいただけると幸いです。
ブラックボックス
現在STYLE COFFEEではコーヒー以外の商品を置いていない。
しかし私は甘いものが大好きだ。時折、コーヒーに合わせる生菓子などを購入してきて食べている時は本当に楽しい。
ケーキに含まれるムースの濃度帯が浅煎りと合って興奮したり、ライチのジュレとエチオピアが抜群の組み合わせだったときは人におすすめしてみたり、逆にハード目のジェノワーズは質感が後に残りコーヒーとは合わないなーなど。
このようなことを考えているときは一瞬で時が過ぎる。

私が甘いものが好きなことを知っている知人からは、なぜ店にスイーツを置かないのか、または作らないのかと問われることがある。
単純に作れないということが大きな要因ではあるが、コーヒーと同じモチベーションでスイーツ作りができないからと答えてきた。

よくよく考えてみると美味しさへの探求心に目を背けていただけかもしれない。
改めてなぜスイーツを作る意欲が湧かないか考えてみた。

コーヒーの場合、豆の量や挽き目を可変させることがインプットである。
そして抽出された液体の味がアウトプット。
コーヒーの場合一杯3分ほどで作ることができる。完成したコーヒーの味を見て修正点を探して次のコーヒーを抽出する。
インプットで可変した内容がアウトプットで味として判断されるこの全体のスピード感が私には合っているのかもしれない。

生菓子の場合はそうはいかない。
きちんとしたケーキを作ったことがないので予測で書かせていただくと、生地やムースなどはパート毎に分けられて、細かく作業分割され作られるのだろう。具材のカットの仕方一つや素材の量のバランスなど完成までに動かすパーツが山ほどある。出来上がったケーキの味を見るまでたくさんの行程がある。
インプットから完成までのアウトプットまでの時間が長いのである。そして完成までの行程の中にある可変作業があまりに複雑で多過ぎる。これが堪らなく好きな人が料理人やパティシエさんなのであろう。改めて本当にすごいと思う。

要するに私はせっかちなので味作りをしたらその結果を早く知りたいし、もしそこに足りていない要素があったらすぐに変更したいのだと思う。

長く書いたが上記がスイーツを作らない周到な言い訳である。


これを書いているときに思ったのだが焙煎されたコーヒー豆は二酸化ガスが発生していて味が落ち着いていない。焙煎してから1週間後は本来の甘さや香りが出ている。その為、焙煎の品質チェックは1週間後だ。中々長い。
もっと良い言い訳を考えよう。

 

Jose Uribe

新しく出たColmbia のコーヒー豆について。

Colombia / Jose Uribe
Location: Huila
Variety: Tabi
Process: Washed
Altitude:1550-1700m

3回連続でコロンビアをリリースしています。
じんわり広がる甘さにオレンジの皮のような柔らかな香り。蜂蜜かりん飴の様な程よい柑橘の酸そして、とろみのあるコーヒーです。
水分値11.1%。

直近で品種の違うコロンビアを2種類焼いたのでどのように火が入るかや1st clack後にどのような進行を辿るのかイメージができていました。
この品種は豆のサイズが大きめなので前半のガスを強く入れる必要があると予測しました。
コロンビアの大粒の品種はエルサルバドル パカマラなどの大粒で後半火が入りやすい傾向にある豆とは逆のイメージです。ゲシャを焼いた際は後半の進行スピードは速かったですが。

そんな予測を立てていざ焙煎です。前半ガスを強めに入れましたがイメージしたカーブより遅くなりました。前半のガスの強さで全体の焙煎時間や後半の火の入りが変わってくるので前半の火力は非常に重要なポイントです。
1st clack後の進行はく豆温度が高くなってしまいました。これは外側が焦げてしまう恐れがあります。

後日カッピングを行なった際、甘さのボリュームが足らなかったです。前半のガスをあげます。
懸念されていた1st crack後の進行の速さからくる外焼けはなかったです。アンダーローストを思わせる酸を少し感じたので豆温度に注意しながらゆっくり進行させ少しdevelopment timeを伸ばしました。

甘く程よい柑橘の酸を感じることができる、そんな豆です。

焼きそばパンとコーヒー牛乳
味覚の相互作用は近年かなりのスピードで成長している分野だと思います。
コロナ禍で外食の機会が減り、お酒を飲む回数が減ったことによりアルコールを使わないモクテルをカフェメニューでよく見かける様になりました。
液体同士を掛け合わせたり、食べ物と合わせたりと味の相互作用は僕たちに新しい見識、驚きをくれます。

少し前の記事になりますが面白い記事を紹介します。
五味を数値化する味覚センサーレオを開発した味博士による焼きそばパンとコーヒー牛乳の考察が非常に面白いです。
焼きそばパンとコーヒー牛乳それぞれの五味を分析し数値化。そしてなぜこの二つが合うのかを論理的に説明してくれます。
またコーヒーとの相性も数値化されているので興味深いです。
他の記事も面白いのでぜひ!
https://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/17581?fbclid=IwAR2EygeFohRodLx4q9LPhyHFu8DkJ0Pl48MFbOfgJ362pa0eRLV5fVszKfs

コーヒーは五味に香りが加わるので複雑になりますよね。五味での相互作用はイメージがつきますが香気成分で相互作用を狙いたいですね。